目をつむった人々のポートレートは、2014年、当時6歳だった長男の寝顔に心を動かされたことから始まりました。その無防備な表情に触れ、日々の関わりを振り返り、親としての未熟さを痛感しました。
「目をつむることで、人と人との距離は縮まるのではないか」。そんな思いから撮影を始め、これまでに年齢・性別・国籍・障害の有無を超えて、さまざまな背景をもつ約3,500名が共に目をつむりました。
目をつむると、普段は見られない表情が浮かび上がります。その表情から、その人の新たな一面に気づくでしょう。また、その姿は自分自身では鏡に映して見ることができません。いつもとは違う自分がそこに現れます。さらに、目をつむることは寛容や受容のメタファーであり、祈りの象徴でもあります。
撮影の場で「失敗」とされがちなその瞬間には、目には見えない大切な何かが静かに息づいているのです。
目をつむることで、心と心の距離が近づき、見えるものと見えないもののあわいに思いを巡らせる機会となることを願います。
2025.9
一般社団法人ヴァリアスコネクションズ 理事長 成実 憲一





